私たち聖パウロ学園では、カトリックの教えの中心を成す「愛」を、園児・生徒の成長にあわせ、日常生活のなかで具体的にどのように実践していくかを理解していくことを教育活動の柱としています。
すなわち、教育の三つの原則、「知育・徳育・体育」のなかにあって、徳育をその中心に据えています。徳のある人が知識を増やし高め、世のため人のためになる「愛」を実践することこそが重要と位置づけているのです。また、建学の理念を、「地の塩、世の光」となる人材を育てることとし、「愛と正義と責任ある自由」を身につけた人材の育成を図っています。
「子どもを駄目にしたいなら、子どもの言いなりになりなさい」と言われています。また、子どもが勇気を出して「何々をしよう」と決心したとき、「それはしんどいから可愛そうだ」と思って、保護者や教師が、子どもに代わってそれを行ってしまい、結果として子どもの決心を打ち消したりしていることがしばしば見受けられます。
子どもの成長は、子ども達にとっての「冒険」から始まります。冷たい雑巾がけでも、子どもが「しよう」と決心したのなら、「寒いから」「冷たいから」と、大人が勝手な判断をして、代わりにしてしまうことは、子どもの精神的成長を妨げます。
それはまた、子どもの新しいことへの挑戦意欲をもなくしてしまう可能性を生みます。ときには、手を差し伸べることが必要な場合もあります。しかし、「見守る姿勢」が、子ども達を大きく成長させる糧でもあるのです。幼稚園児、中学生、高校生と、年齢は大きく開いていますが、子どもたちには、それぞれの成長段階に応じた「決心」があります。その決心を温かく見守り、保護者や教師が補佐していくことが教育では重要です。
本学園では、年齢に応じた基本的な知識の涵養は当然ですが、年齢に応じた個々人の発想を大切にするとともに、クリエイテイブな発想ができるような園児・生徒の育成を進めています。さまざまな取り組みのなかで、限りない可能性に挑戦することなどから、子どもたちの限りない可能性を秘めた潜在能力を顕在化することに力を入れています。
そしてまた、本学園では、個々人の保有能力を、発揮能力として活躍できるように育成しています。これら教育を成果あるものとするには、教育環境の整備は不可欠です。充実した図書館、音楽教室、情報教室を始め、人工芝のグラウンドの整備など、教育効果を高める施設を完備して教育活動を行っています。
カトリック学校である本学園各校の毎日の学校生活は、祈りに始まり、祈りに終わります。週一回のスクールアワー〔道徳教育・宗教教育〕と、年間二回のミサによって、中学・高校では生徒の情操教育を行い、「人の痛み」のわかる人になれるよう育成しています。
カトリックの教えに基づき、心身ともに人生の基礎を築く大切な時期に対応した教育を実践していくことこそが、本学園の最重要な使命と考えています。